[9]なぜ一声かけないの?
テレビで、バスの運転手が後部ドアを開けたまま5分程度バスを走行させたというニュースが流れた。アナウンサーは、いかに危険かと訴え、どんな法令違反にあたるかについて当時の映像を流しながら話していた。 こうした人為的なミスは確かに防がなければならないが、この時乗り合わせた乗客は何をしていたのだろうと疑問に思う。「運転手さん、後ろのドア開いていますよ」の一言はなかったのだろうか? 映像は明らかに携帯で撮ったものなので、その撮影時間を考えると、一声かけることは容易であったと思う。 一言をかけるといった些細な行動ができなくなってしまった。 近所の公園で遊んでいる子供がいたずらをしている。「コラッ」という一声はなく、矛先は学校に向かう。子供のことはとにかく学校へ。そんなこと学校で教えてはいないのだが。 立場や年齢に関係なく見ず知らずの人と人とが、声をかけ合い、挨拶や賞賛、時には叱責したり話し合ったりできることが、今大切なのではないだろうか。 一声かけあえる社会になってほしいものだ。 |
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田中孝宏 小学校長
1960年千葉県船橋市生まれ。83年4月、小学校教諭に。2011年から現職。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。