「読売ワークシート通信」のメールマガジンから、記者コラムの一部を紹介します。
パパじゃだめですか?
2021年6月2日
学年が変わって初めての保護者会は、さながら戦場。各学級から数人を選出するPTA委員をめぐり、悲喜こもごもの争いが繰り広げられる。くじ引きで当たりを引いてしまい、泣き出す人も・・・
そんなイメージを持っていました。でも実際は違いました。抽選で3年連続落選し、落胆する人も! 長男の小学校では原則、6年間で1度は委員を引き受ける決まりがあります。高学年になると、卒業対策委員や各委員会の代表など、重責に当たる確率が高くなります。そのため、低学年のうちに委員をすませてしまおうという希望者が殺到するのです。
私も希望した「校外安全委員」を引き当てたのは、長男が保育園の頃から仲の良い「パパ友」でした。コロナ禍で原則テレワークとなり、出勤が多い母親に代わって立候補したそうです。委員は交通安全週間に通学路に立ち、自治会の方と意見交換するのが主な役割。もともと地域の行事参加に熱心な方で、適任でした。
しかし、思わぬ所から「抽選をやり直すように」と連絡がありました。委員は地元警察署の「安全を守る母の会」のメンバーを兼ねています。「母の会」なので父親の登録はできないと、警察署から「待った」がかかったのです。母親に限る必然性とは? PTA役員を通じて再検討をお願いしましたが、警察署の回答は変わらず、委員は父から母に変更となりました。
地元署の「母の会」設立は昭和40年代。私が生まれる前、男女雇用機会均等法が施行される前のことです。当時は母親が家を守り、地域を守ることが当たり前だったのかもしれません。でも時代は変わりました。学校では性別にかかわらず「さん」づけで呼び、女性蔑視と受け取れる発言をした元首相はキャリアの花道となるはずだった職を追われました。今回の件は、時勢に合った会のあり方を考える絶好の機会だったのではないでしょうか。
世の中にある「母の会」「父の会」の全てを見直すべきだと言うつもりはありません。ただ、誰かが慣例的に担ってきた役割に手を挙げる人が現れた時、その人の意思を尊重して柔軟に対応できる大人でありたいと、思うのです。(勝)
前へ<< | >>次へ |
コラムへのご意見は ednet@yomiuri.com へ
読売ワークシート通信は、「読売新聞」と英字紙「The Japan News」の記事に、問題と解答記入欄をつけたワークシート教材です。小中高校の先生に無料で提供しています(原則として毎週水曜日更新)。お申し込みには読売新聞教育ネットワークへの参加登録が必要です。