「読売ワークシート通信」のメールマガジンから、記者コラムの一部を紹介します。
目を見て話せますか
2020年11月11日
「オンライン面接って、どこを見て話すのが正解なのでしょうか?」
就職活動(就活)もいよいよ本格化。大学3年生から、こんな質問を受けました。
コミュニケーションの基本は「目を見て話すこと」。ところが、大学生が使うようなノートPCのカメラは、スクリーンの上部についています。PCの画面に映る面接担当者の目を見て話そうとすると、自然と相手からは、目線が画面の下を向いているように映ってしまいます。逆に、相手に向かって「目を見て話している」ように話そうとすると、PCに映る面接担当者の目は見ることができないし、リアクションも見づらくて不安ーーというわけです。
新型コロナの流行、緊急事態宣言と、前例のない学生生活を送っている3年生。会社説明会やインターンシップなど、社会人と接する機会が増えるにつけ、不安も高まっているようです。
「『私服OK』の私服って、どれぐらいまでOKなのでしょうか?」「OB訪問って、何人くらい会えばいいのでしょうか?」。考えるときりがありません。残念ながら、4年生の先輩たちの多くは「売り手市場」で就活を切り抜けた世代。ある3年生は、「1年違うだけで、こんなに状況が違うなんて」と嘆きます。「就活は答えのない世界。答えは自分の頭で考えて出すしかない」とはよく言いますが、状況の激変ぶりに、同情を禁じえません。
では、「面接する側」はどうでしょうか。自分は面接担当者として、相手の目を見て話せていただろうか、と思い返してみました。
多い日は1日に30人を面接。手元には、受験者のリストと、隙間なく書きこまれたエントリーシート、後で忘れないように、受験者との受け答えは逐一メモ。正直、あまり目を見てじっくり話していた記憶がありません。こちらの視線もきっと、知らず知らずのうちに手元に落ちていたのでしょう。対面ですらそうだったのだから、いわんやオンラインでは......
就活生が手探りなのと同じように、「面接する側」だって、手探りの毎日を過ごしています。お互い前例のない1年を過ごしているからこそ、最後は気持ちの部分でいかに通じ合えるかが大切、と言えるのかもしれません。「目を見て話さなくたって、強い気持ちがあれば必ず伝わるはず。無理に飾ろうとしないで、自然体で臨めばいい」
月並みかもしれませんが、冒頭の質問の答えは、こんなところではないかと思っています。(石)
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