「やりたいこと」への第一歩《記者のじぶんごと》

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 「初対面の面接担当者とどうやって距離を縮めればいいんでしょうね。とにかく距離を取れ、と言ってきたのに」

 

 コロナ下の3年間を過ごした中学生の受験シーズンが本格化。新型コロナの感染対策に加え、インフルエンザ流行のニュースも耳にします。進路指導にあたる先生方も苦労が絶えません。学力だけでなく、マスク生活が子どもたちのコミュニケーション能力に与える影響も心配です。連日の面接練習に疲れた様子の先生が、苦笑いしながら話してくれました。

 

 志望理由も、面接では定番の質問です。ところが、「ホームページのトップに書いてあるような学校の特徴を並べ立てるだけなんですよね」と先生は続けます。「自分の言葉で話しましょう」と指導するのは簡単です。でも、「自分の言葉」とは何なのか。「せめて、自分が興味のあることを、ニュースと関連付けて説明できるようにしよう」と指導しているそうです。私が大学などのキャリア講座で就活生にお話ししている内容と通じるものがあると、思わず膝を打ちました。

 

 SDGsに取り組むため、在学中に起業という道を選んだ大学生。ある中学校で行われた講演の後に、1人の女子生徒がこの大学生を呼び止め、「やりたいことができそうなのは、志望校とは別の高校なんです」と複雑な思いを打ち明けました。「高校も、大学も、自分がやりたいことに近づくためのステップでしかないんじゃないかな。だったら、やりたいことから学校を選んだ方がいいよね」という大学生のアドバイスに、笑顔でうなずく生徒。その様子を見守った先生は、「偶然だけど、これもご縁だね。人生が変わったよね」と目を細めていました。

 

 ネットを検索すればたいていのことはすぐに出てきてしまう時代。子どもたちがすぐに「答え」を求めてしまうのは仕方のないことでしょう。私たち大人も、ともすれば、子どもが傷つかないよう、無難な選択をさせてしまっているのかもしれません。ようやく出口が見え始めてきたコロナ下の教育。様々な困難の中で得た3年間の学びは、いつか大きな糧となるはずです。高校受験という試練を、大きな夢に近づくための一歩にしてほしいと願っています。

(石橋 大祐)


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(2023年2月17日 14:50)
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