wwと草々《記者のじぶんごと》
39.
夕食時、中学3年生の娘が妙な話を始めました。
「きょう学校で、先生が保護者宛ての手紙を配ったんだけど、若者ぶって最後にww(クサクサ)って書いてるの。マジw(クサ)でしょ~」
一体、何の話をしているのか。
wとは、インターネットの掲示板から生まれた表現で、文字で「笑いの感情」を表す時に使います。(笑)からwarau、そしてwへと変化し、wがwwwと複数並ぶ様子が、草が生えている様に見えることから「おもしろい、笑える」と伝える時に「クサ」と言ったり「草」と書き表したりするようになったそうです。
手紙の最後のクサクサ......。思い当たったのが手紙の結び「草々」です。こんなことも知らないのか。ため息が出そうになりましたが、ふと思いました。クサクサと読む人も、今は結構いるのでは、と。
新聞記事はより多くの人が理解できるよう、難しい用語や表現を分かりやすく言い換えます。中でも読売新聞は1874年(明治7年)、誰もが読めるようにと、全ての漢字にルビをふり、当時としては画期的だった口語体で創刊した経緯があります。150年前から「情報のユニバーサルデザイン化」に取り組んできたのです。
ただ、誰もが自分の興味関心のある情報を簡単に手に入れ、楽しむようになった現在「誰にでも伝わる」ことを見つけるのは、どんどん難しくなっているような気がします。私自身もつい、同年代や同じ嗜好の人と関わる時間が増え、他の立場の人が何を考えているのか、どこまでなら共感できるのか、伝わるのかを想像することが少なくなってきてはいないか、と少し反省したのです。
そう思うと、学校は10代から60代までが一緒に過ごす場所。児童生徒はもちろん、その周囲にいる保護者や地域の人々まで含め、みんなに伝わる、みんなが分かる、みんなが楽しいを常に意識しなければならない、現代では珍しい空間と言えそうです。
さて話は戻って「草々」問題。実家の両親は「クサ」を知らず、私の弟は「warauでしょ」と即答したものの、手紙の「草々」は「見たことあるけど......」と頭をかいていました。
皆さんは、「草々」を目にした時、ソウソウが浮かびますか。それともクサクサですか。
(大広 悠子)
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