2030 SDGsチャレンジ

@スクール・学校の取り組み

SDGsトーク 特別編 6/9「自己肯定につなげる手法」

山藤旅聞先生(左)と田中孝宏・教育ネットワークアドバイザー

 国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を達成するための方策を教育の面から探る「SDGsリレートーク『じぶんごと』からはじめるために」。新渡戸文化学園小学校・中学校・高等学校(東京都中野区)の山藤旅聞先生と、田中孝宏・読売新聞教育ネットワークアドバイザーとの対談は、教科の枠を超えた学習を、各教科の基礎学習へとつなげていく手法に話が及びました。

 

まとめ:住吉由佳(教育ネットワーク事務局)


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山藤 今の高1の「生物基礎」という僕の授業では、社会で起きていることを知ることから始めて、生物の教科書を生徒たちに見てもらったところですが、次に「最もやりたい分野を勉強してください」と言ったら、30ある単元の中から22単元が埋まりました。残り8単元だけを僕は教えて、22単元は自分たちが勉強したことを仲間に伝え合う方式で、2学期には年間の学びが完成します。3学期はまるまる空くと思います。

 

田中 初等教育だとどうですか。

 

山藤 ほぼ同じ感じですね、ゆるやかに。初等教育の方が教科横断的なプロジェクト型教育はやりやすいのではないかと、同僚の小学校の先生たちと話しています。基本的に小学校では、1人で全教科教えるからです。うちの学校は1学年2クラスで1学年に3人先生がつくのですが、さらに2つの学年がチームを組み、1・2年生、3・4年生、5・6年生で、それぞれ6人ずつのチームを作り、違う教科の先生が1つのチームになって教えることができます。この2週間はこういう活動しよう、っていう感じで、プロジェクト型学習と基礎学習を展開できています。

 

田中 教科学習の中で、例えばオンラインとかICTを使えばそれで十分だ、という内容がけっこうあると思うんですけれど。例えば生物でここの部分はオンラインを使えば2時間で済んじゃうよ、というようなことが分かってきた、ということはあります?

 

山藤 僕は逆で、教科書を学習指導要領ベースで最小限ミニマムにやらなければならない時、30の問いを僕の方が作っていて、その30の問いに答えられれば、1年間、やらなければいけないことは終わると考えていて、ペースは子どもたちに託しています。こちらからこれを2時間でやってね、というようなことは言わない。ほかの手法でやってらっしゃる先生もいます。最上位目標に対して向かっている学びであれば、それぞれの先生のやり方でいいと考えています。

 

田中 各先生が最上位目標をちゃんととらえて、自分自身で教科学習をうまく料理すればいいと。でも力量が必要になりますよね。

 

目指すは「自立型学習者」

 

山藤 僕たちの授業での最上位目標は「自立型学習者」。主体的な学びを生み出せる人たちを授業でどう育んでいけるか。こちらが手を出せば出すほど、自立型から遠ざかっていくということを確認しています。でも何も与えすぎないと動けない。

 

田中 そうなんですよね、そこがホントに難しいところ。

 

山藤 僕の感覚では、子どもは1人ずつ違う。与え方の量も1人ずつ違うし、手放し方も違う。すぐ自律的に学びを進めることができる生徒もいれば、そうじゃない生徒もいる。生徒それぞれのよさを自己肯定しながら進んでもらうためには、やっぱり手法は個別最適化していかないといけないと思います。

 

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(2020年8月25日 16:30)
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