SDGsトーク 特別編 7/9「オンラインで社会とつながる」
オンラインを活用し、現場から中継する授業も。写真は東京・檜原村から中継する様子(2020年6月)
新渡戸文化学園小学校・中学校・高等学校(東京都中野区)の山藤旅聞先生と、田中孝宏・読売新聞教育ネットワークアドバイザーとの対談「SDGsリレートーク『じぶんごと』からはじめるために」。本気で学びたいという子どもたちの支援者としての教師の役割について、山藤先生が語りました。
まとめ:住吉由佳(教育ネットワーク事務局)
大人都合の発想ではモチベーションを下げる
田中 コロナ禍で分散とか一斉登校とか、いろいろなパターンをやりましたが、公立小学校の先生に何がよかったかと聞いたら、分散登校が一番よかったという答えでした。
分散登校は1クラス多くても20人ぐらい。子どもたちがすごく落ち着いて、しかも子ども一人ずつとよく話ができる、と。一番びっくりしたのは、今まで不登校だった子が登校するようになった、意見が言えなかった子が言えるようになった、この変化はなんだと思ったそうです。
山藤旅聞先生 |
山藤 9月入試型にするとか、学習指導要領の内容を8割に落とすとか、全部、大人都合の発想。コロナの問題が長期化し、先生方はさまざまなことを今社会から問われていると思いますが、まずは子どもたちに聞くのが大事だと思っています。「国としてやらなきゃいけない量があって、残りのこの時間で、君はどうする」と。学びの責任を子どもたちに託し、「僕、この時間、短くなっちゃったからこうします」と言わせないと。
そして、子どもたちが決めたことを軸に、先生たちが学校であなたの活動を実現できるように助けるよ、という風にしないと。今、遅れを取り戻そうと必死に考えていらっしゃる先生が多いと思いますが、たまった課題を積み上げてたくさん宿題を出すという形では、学びのモチベーションが落ちますよね。例年通りを期待しすぎると、今だからできることも、新しい未来を考える余裕もなくなってしまうのではないでしょうか。
田中孝宏・アドバイザー |
田中 そうですよね。
山藤 田中先生がおっしゃったような子どもと先生との関係性が、2分の1の登校日数で成立するなら、僕はトータル2年間、3年間を見たら、どっちが質の高い学びかっていうと、1日家にいて次の1日学校に来るというのをずっと続けても、じゃああさって学校に来るまでに自分で何するか考えてするんだよ、って言う方が、質の高い学びといえるはずだと思います。
田中 そうなんですよ。
学びの責任を子どもたちに託す
山藤 学びの責任を子どもたちに託して、僕たちをツールとしてどれだけ学びを引っ張り出してこれるか。あとは生徒の小さなやりたいという気持ちを拾って、いかにその先の学びへ目を開かせてあげられるか。その道の先を行っている人と接続させてあげられるか、そういうことしかないんじゃないかなと思っています。
今までの教育は、大人が良かれと思い、多くを与えすぎているのではないか。今、オンラインで社会の人々と会話するプロジェクト型学習をどんどん進めていますが、自分が興味を持った分野で実際に社会で活躍していらっしゃる人たちと子どもたちが会話をすることで、子どもたちは何を自分で学ばなきゃいけないかを見つけると思うんですよ。
「自分で本気でやりたい」という気持ちが生まれたら、その手段として大学に進学する必要が出てくるならその合格に向けて全力で支援する、入学試験で8割取らないと入学できないというなら、8割を取れるようにするにはどんな勉強が必要かをともに考え、全力で支援するというスタイルですかね。
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