「消費税の使い道」 月刊ワークシート vol.11

2月6日読売新聞朝刊掲載「消費税の使い道」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(4)消費税が上がることを、あなたはどのように考えますか。


消費税って、買い物をするときに必ずかかる税金ですよね。消費税を導入しているのは、日本だけなの?

 

日本だけのしくみではないのですよ。国税庁の調べによると、2018年1月現在の世界の消費税は、およそ200の国や地域のうち、100以上で導入されているそうです。

 

日本は10月から10%に税率が上がるけれど、これってけっこう高い税率だと思いませんか。グラフを見ると、どんどん上がっているじゃないですか。

 

ところが、日本より高い国があるのです。デンマーク、スウェーデン、ノルウェーは25%です。(2019年1月現在、ハンガリーは27%です)

 

あれ、社会保障が充実している国?でも、そういう国で生活するのは大変なんじゃないかな。

 

そう思うよね。ところが、例えばデンマークでは、消費税が高い分、医療費や大学までの教育費が無料なのです。それは、消費税のおかげなんですよ。

 

中東では、石油でたくさんの税金が国に入ってくるので、消費税はありませんでした。でも、近頃、石油の価格が下落し続けたので、サウジアラビアやアラブ首長国連邦は、2018年から消費税を導入したそうです。

 

税金と国民の暮らしとは、とても関係があるってことですね。

 

そうですね。消費税の他にも、いろいろな税金があるのですよ。国税庁のウェブサイトで調べてみましょう。

 

ハンガリーでは「ポテトチップス税」、フランスでは「ソーダー税」っていう消費税があるらしいですね。

 

ちょっと変わった税金ですね。これはね、国民の健康を守る作戦なのです。つまり、塩分や糖分を多く含んだ食べ物や飲み物に税金をかければ、たくさん食べたり飲んだりしないでしょう。少しは我慢したくなるじゃない。国民があまり買わないようにして、肥満や高血圧という病気を防ごうという取組みです。

 

ふーん、おもしろい。日本の消費税の場合は、国のお金が足りなくなってきたので、導入するってことになったのですよね。

 

そう、日本の財政は「火の車」だそうです。新聞記事によると、国が1年に使うお金98兆円。ところが、国に入ってくる税金は64兆円しかないのだそうです。消費税が上がると、入ってくる税金は5兆円増えるそうで、それが、社会保障費などにあてられるというわけです。そう聞くと、アットス君は、「しかたないなぁ」という感じかな?

  

そうだなぁ、少し納得しています・・・。どのように使われていくのかは、しっかり見届けなければと思うし、社会保障制度についても、もっと知りたい。どんな社会にしたいのか、そんなことも考えなくちゃ・・・・。

 

そうね、どんな社会であれば皆が幸せに暮らせるのだろう。真剣に考えたいことですね。ところで、消費税が上がると、アットス君の生活は、変わる?

 

なにも考えずにどんどん買い物していたけれど、できなくなっちゃう。

 

だれもがそう思うよね。「無駄な買い物はしない」と決心。そこで、政府は、アットス君のように、買い物を我慢してしまう人が増えるのではないかと心配もしているんです。

 

だから、食料品などの税率は8%のままにするとか、買い物をしたらポイントをもらえる仕組みをつくるとか、お得な商品券を用意するとか、いろんな対策を考えているんですね。

 

そう、それが政府が考える、経済対策です。10月からの消費税の引き上げに伴う経済対策を調べてみるのも必要です。一つの例を言うと、コンビニなどで、「お持ち帰りですか、店内でお召し上がりますか」ってよく聞かれるけれど、10月からは、どちらかを選ぶことで、消費税率が変わります。

 

家に持ち帰れば「8%」、イートインコーナーで飲食すれば「10%」ってことですね。これは、「軽減税率制度」って言うんですよね。ニュースでよく聞く言葉だから覚えちゃった。

 

さすがだね、アットス君。これは、家計の負担を少なくするための方法なんですね。外食とお酒類を除く飲食料品の税率をこれまでと同じにするということですが、今、お店では、その対応の準備を着々と進めているようですよ。

 

賢い消費者になることが大事。そのために、この機会に、税率が8%と10%になる場合を、整理してみましょう。新聞にもわかりやすく書かれています。参考にしてみるといいですね。

 

【参考記事】

■消費税10%来年10月(2018年10月16日 読売・朝刊)

■増税三度目の正直(スキャナー)(2018年10月16日 読売・朝刊)

■消費増税の要点 上・中・下(2018年10月16日~18日 読売・朝刊)

■消費税10%にアップ(2018年10月25日 読売KODOMO)

■2040年 高齢者人口ピークに(解説スペシャル)(2018年10月25日 読売・朝刊)

■MONEY「消費税に備える」軽減税率(2018年11月1日 読売・朝刊)

■軽減税率「線引き」指針(2018年11月9日 読売・朝刊)

■「現金主義」恩恵薄く・システム改修負担(2018年11月16日 読売・朝刊)

■(論点)社会保障教育の機会拡充を(2019年1月4日 読売・朝刊)

■暮らしの制度 変更のポイント(2019年1月5日 読売・朝刊)

■社会保障は「全世代型」へ(2019年1月7日 読売・朝刊)

■18歳の1票「テーマ・消費税10%」(2019年1月12日、1月19日、1月26日 読売・朝刊)

 

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(2019年2月 5日 19:30)
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