「女性が働きやすい社会へ」月刊ワークシート vol.2


【質問】国は、なぜ、女性活躍推進法を作ったのですか。理由を書きましょう。


5月2日読売新聞朝刊掲載「女性が働きやすい社会へ」の解説ページです。

「新聞@スクール月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!

 女性が活躍する社会にするには、どのような働き方にすることが必要でしょうか。いろいろな人から話を聞くなどして、あなたの考えをまとめましょう。

【じゅんこ先生の解答例】

 月刊ワークシートの記事では、「少子高齢化で働き手も減るとみられるため、国はより多くの女性に働いてほしいと考えて、15年に『女性活躍推進法』を作りました」と書かれていますね。

 「女性の職業生活における活躍の必要性」(平成27年9月25日閣議決定から)を読むと、理由が二つありました。理由の一つは、急激な人口の減少における将来の労働力不足の心配やいろいろな人材の必要性、もう一つは、働く場面で女性が力を十分に発揮できているとはいえない状況があること、です。

 

 厚生労働省は毎年、その前の年に生まれた子どもの数を発表していますね。2017年の6月16日の中高生新聞の「出生数42年で半分に」という見出しに驚きました。どんどん人口が減っている・・・。

 

 アットス君は、新聞切り抜きをしているから、ピンときたのですね。いい記事を選んでくれました。毎年6月頃に前の年の出生数が発表されます。2017年度は約97万人でした。この記事では、今の中高生の10年後、30年後、どんな現実が待っているかイメージしてみよう、というものでしたね。

 

 ところが、2017年12月23日の新聞の見出しでは「出生94万人 過去最低」「17年推計 人口40万人減」とあり、またまたびっくり。そして、今年(2018年)3月31日の新聞では、「2045年 東京以外は人口減」「65歳以上 全都道府県30%超」という見出しの記事を見つけました。少子高齢化に歯止めがきかない感じですね。日本はどうなっていくのかな・・・。

 

 そう、そこで、国は「女性活躍推進法」という法律を作って、働きたいと希望する女性が仕事を続け、職場でその力を発揮できるよう応援しよう、としているのです。

 

 女性の活躍って、当たり前のことではないんですか。

 

 30年前はそうではなかったようです。結婚したり赤ちゃんを産んだりして仕事を辞め(30歳代)、子育てが落ち着いた頃(40歳代)に再び働きに出る人が多かったのです。

 

 働いている女性の割合を、年齢別にグラフにしたものがあって、「M字カーブ」って言うんですよね。

 

 よく知っていますね。最近は、赤ちゃんを産んでも働き続ける人が増えて、「M字」の底はかなり浅くなっているそうですよ。

 

 じゃあ、今は、女性が活躍しているってことですね。

 

 そうとも言えないのですよ。

 「育児は女性」という考えはまだ多く、出産したら残業や転勤をしない仕事を選ぶ人も多いのです。また、「マタニティハラスメント」という言葉も耳にします。残念ながら、赤ちゃんができた女性に退職を強いる会社もあるようです。国の調査(2014年)によると、働きたいと希望している女性のうち、働けない理由に「出産・育児」としている人が3割いることがわかりました。

 

 

 あっ、そう言えば、2017年11月10日の読売中高生新聞「みんなで考えたいジェンダー平等」という特集記事の、愛知県立旭丘高校(名古屋市)の生徒たちが行った「結婚観と働き方に関するアンケート」結果を思い出しました。

 

 アンケートでは、男女を問わず、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考えには否定的な生徒が多かったのに、「妻には正規雇用で働き続けてほしい」という男子生徒は2割に満たなかった、と書いてありました。これって、本音と建前ということ?

 若者たちが意識を変えていかなくては駄目なんだ、と思った記事です。

 

 それに、企業や役所などの管理職のうち、女性はなんと13.0%。アメリカやフィリピンは40%を超えているのに、日本はまだまだ。じゅんこ先生は、中学校の校長先生だったんですよね。

 

 はい、11年間、校長という立場で働いてきました。

 ところで、女性の校長先生の割合はどれ位でしょう?調べてみると、2017年度女性校長の割合は、小学校18.9%、中学校6.0%、特別支援学校21.3%となっています。(全国公立小・中学校女性校長会調査から)。

 

 女性の先生は、小学校65.3%、中学校42.0%、特別支援学校61.7%で、増えています。しかし、管理職になる人の割合は少ないですね。

 

 女性の校長先生が多くなってきたな、とは思っていたのですけれど、学校でも、国が2020年の目標にしている3割には、まだまだということなんですね。

 

 富山県の女性活躍推進調査では、県内で働く女性の約65%が「管理職になりたくない」「どちらかといえばなりたくない」と考えていることがわかったという記事もあります。なんでなりたくないのですか?

 

 富山県は女性有業率全国4位ですが、管理職割合は44位だそうですよ。

 管理職になりたくない理由に、「仕事と家庭の両立が困難」というものがありました。国立女性教育会館が実施している若手社員の意識調査でも、「仕事と家庭の両立が困難になる」と答えている人が7割でした。

 

 「仕事と家庭の両立」ですか・・・とすると、女性にとっても、働き手がほしい企業などにとっても、これが大きな問題になるんですね。

 

 2017年には、女性に家事や子育ての負担が集中する「ワンオペ育児」という言葉をずいぶん聞きましたね。

 

 そうですね。女性が安心して働ける社会になるためには、どんなことが必要なのか、考えてみましょう。

 

 今までみてきたことから考えると、家庭との両立には、男の人の働き方が変わらないと実現も難しいですね。

 

 そうですね。今のように、通勤時間でクタクタになって、勤務時間は会社でお仕事という働き方を、そろそろ変えていかなければならないというわけです。会社の中でも、会議の時間を短縮するために、立って話し合う会議を実施しているところもあります。

 

 通勤ラッシュを避ける「テレワーク」が広がっているらしい。

 

 情報技術(IT)などを活用して、自宅などで仕事をすることですね。最近では、駅に近いビルやカラオケルームなどが「第三の働く場」として注目されているようですよ。

 

 疲れも違うし、効率的に仕事をすれば時間のゆとりができる。そうすると男性も、家事を分担できる、というわけですね。

 

 家事や育児の分担という面では、男性に対する子育て支援策も企業などには求められます。ノルウェーでは、育休の父親割当制度というのがあって、育児休暇の一定期間を父親に割り当て、利用しないと権利が消滅する、というもののようです。こうした取り組みには男性管理職の意識も重要だと思いますね。

 

 それって「イクボス」でしょう?

 

 部下の仕事と家庭の両立を応援しながら組織の業績でも結果を出す上司が増えているんですって。男性の育児休暇をとる割合も、伸びるでしょうね。

 

 いろいろな人にお話を聞いてみたら、次のことが分かりました。

〇育児にかかる費用の補助がある

〇短時間勤務体制制度が拡充している

〇子どもの学校行事に参加するための休暇制度を作った

〇毎週「ノー残業デー」を設定している

〇会社や病院の敷地内に保育所が整備されている

 

 アットス君、すいぶん調査をしたのですね。会社の工夫や努力がみえるような気がします。

 学校も、部活動の日数を決めたり、夏休みに一斉休校日を設定したり先生方の働き方改革も進められていますね。

 これを機会に、将来、どんな働き方をしたいか、それぞれ考えてみましょう。男性も女性も、これからは、「家庭か仕事か」ではなく、「家庭も仕事も」です。

 

【参考記事】

●ニュースQ「女性活躍 なぜ必要?」(2017年5月5日/読売・朝刊)

●「出生数 42年で半分に」(2017年6月16日/読売中高生新聞)

●「『在宅ワーク』家庭と両立」「子ども送り出したら 食卓で作業」(2017年8月1日/読売・朝刊)

●「みんなで考えたい ジェンダー平等」(2017年11月10日/読売中高生新聞)

●「出生94万人過去最低」(2017年12月23日/読売・朝刊)

●平成の人生案内「女性の社会進出 悩み複雑に」(2018年1月3日/読売・朝刊)

●展望2018「家庭も、仕事も」社会実現を(2018年1月9日/読売・朝刊)

●「家事の合間 近所でひと仕事」(家事の合間などの隙間時間を利用し、家の近くで仕事をする「ご近所ワーク」)(2018年1月20日/読売・朝刊)

●ニャるほど社会保障「女性の活躍推進どういうこと?」(2018年2月4日/読売・朝刊)

●「『第三の場』で仕事集中」「職場でも自宅でもない」(2018年2月8日/読売・朝刊)

●わくわく新聞活用「働き方を変えたら」(2018年3月1日/読売・朝刊)

●編集委員が迫る「仕事か家庭か選ぶべきではない。男性も育児 法整備」(2018年3月3日/読売・朝刊)

●「2045年 東京以外は人口減」(2018年3月31日/読売・朝刊)

 

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(2018年5月 1日 17:30)
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